コラム インプラント

2012年4月 7日 土曜日

インプラントが骨と結合しなかった症例の考察

当院でのインプラント治療は年々増加し、本年も10月15日現在で392本のインプラント治療を行っております。その中で、アドバンスな症例(難症例)も増加していることも事実です。これは、インプラント治療の認知度が増し患者さんの治療に求めるニーズが高くなっていることが原因のひとつではないかと考えます。

当院では、過去8年間で約1200本のインプラント治療を行ってまいりましたが、その中で残念ながら1回目の手術でうまく結合しなかったケースが数例ございます。
初期のサバイバルレートは99%ほどですが、リカバリーの手術を行い現在は100%機能しております。

インプラントと歯槽骨がうまく結合しないということは、患者さんにとって残念なことですし、我々歯科医にとっても残念な結果です。
我々歯科医の努めは、なぜうまく結合しなかったのかを考察することにあります。そこで、私なりに考察してみましたことを以下に記します。

    歯槽骨のコンディション(骨の質)

    歯槽骨は大きく分けると皮質の骨と海綿骨からなります。皮質骨は初期のインプラントの固定に、海綿骨は術後長期にわたりインプラントの安定に大きく係ってきます。
    理想的には厚い皮質骨・充実した海綿骨となりますが、なかなかそのようなケース少ないものです。その両者とも乏しいケースはインプラントの結合も難しくなってきますが、近年では様々なインプラントシステムが開発されており、アパタイト系のシステムは有効といわれております。
    逆に硬すぎる場合は、オーバーヒートに注意しなくてはいけません。実は私も最近1ケースオーバーヒートによる火傷のケースがございました。残念ながら一度撤去し、再度埋入させていただきました。このようなことを防ぐ意味でも歯槽骨が硬い場合は十分な注水・ゆっくりとしたドリル操作が必要と考えます。

    著しい体調の変化(糖尿病・高血圧など)

    3年前におこなったインプラント治療のメンテナンス中に重度の糖尿病を患ってインプラントの脱落に至ったケースです。
    インプラント治療を行う前の健康診断では問題なかったのですが、術後半年からインシュリン療法を行うようになりました。インプラントの定期検診は2ヶ月に一度行っており、歯磨きもしっかりしていた患者さんなのですが、驚くことに数ミリずつ骨が吸収して、最後には脱落してしまいました。
    糖尿病は、歯周病を助長させるといわれておりますが、インプラントにも当てはまると考えますので、インプラント治療後はインプラントのメンテナンスはもちろん全身的な管理も行っていくことをお勧めします。
    高血圧の方の降圧剤は歯肉の増殖を増進させることがございますので、そうすると適切な歯磨きができなくなります。そのことによるインプラント周囲炎も報告されております。

    喫煙者

    喫煙者は血液の流れが鈍くなります。そのことにより傷口の治りが悪く、そこから感染し、早期の脱落となることもあります。
    ですので、インプラント治療後1週間は禁煙をお勧めいたします。もちろん、健康のことを考えれば、すっと禁煙することが望ましいのですが・・

以上が考察となります。生意気かもしれませんが、当院での考察となりますので、例えば、術者の技術不足・不潔なオペ体制などは皆無です。